ことを、話してくれるにちがいない。
「そうだ、それがいい。そうして今の中だ」
 先生は、宇宙電話機の前へしのびよった。そうして、高声機を、耳にかける受話機の方に切りかえ、その受話機を、大急ぎで耳にかけてスイッチをひねったのであった。
 さあ、果してうまく佐々の声が聞えるかどうか。
 新田先生は、スイッチをひねってから機械がはたらき出すまでの数秒間を、たいへん待ちわびた。
 ところが、受話機の中から、ついに佐々の声がしたのであった。
「……おい、聞いているか、日本人。こっちは、警視庁の佐々刑事だ。今、火星から宇宙電話をかけているのだ……」
 ああ、それはまちがいなく佐々刑事の声であった。
 先生は、これに対して、何とかこちらからも話しかけたいと思った。そう思って、機械を見ると、つごうのよいことに、マイクがちゃんとついているではないか。
(うん、これはしめた。マイクのスイッチを入れさえすれば、佐々刑事と話が出来るにちがいない!)
 新田先生は、今はもう博士に気がねをしている時ではないと思い、マイクのスイッチをひねった。そうしておいて、
「ああもしもし、佐々刑事さん」
 と、先生はあたりをは
前へ 次へ
全636ページ中400ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング