わけでもなかった。しかし、火星の上で植物が万物を支配している世界を想像してみることは出来た。ああ、それは何という風がわりな興味のつきない、恐しい世界であることか!
(ゆだんはならない! 火星は植物が治めているし、わが地球は人間が治めているのだ。この二つのものは、とても手を握ってつきあっては行けないであろう。火星人は、火星兵団を送って、もはや働きかけているのだ。ゆだんはならない!)
 ゆだんはならない。――とは、佐々刑事が宇宙電話でもって、地球に住む者どもに対して警告して来たことだった。恐らく佐々刑事は、火星へ上陸するか何かして、火星人がむごたらしいことを平気でやるのに驚いたのであろう! あの心臓の強い佐々刑事が驚くとは、よほど目に余ったことが、火星の上で行われているに違いない。
「ああ大変なことになった!」
 と、新田先生は、むごたらしい火星人の幻影を両手で払いのけつつ、うめきごえを発したのであった。ああ、怪また怪!
 新田先生が、火星人のおそろしい正体について、推理をくみ立てている間、蟻田博士は、向こうを向いて、しきりに火星人の兄弟ロロとルルの寝顔を見まもっていた。
 ところが、その
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