言った。だから植物であるというのは、答えになるではないか。
 それから又、そこの檻の中に病気で弱っている火星人ルルは、博士が日本アルプスの山中から掘出して来たという草の根を、くさりかけた体にぬって、たいへん気持がよくなったというが、この薬は動物にはきかないという。火星人は植物だからきいたのではないか。
 まだある! 火星人の残酷さだ!
 火星人は、情というものを全然知らないようである。情心《なさけごころ》は、動物だけにあるもので、植物にはないのだ。この前火星人丸木は、銀座で平気で、人殺しをやったではないか。
(火星人は、植物にきまった!)
 新田先生は、長い歎息をした。
(全く情心というものを持合わさない植物なればこそ、火星人は、あの通り残酷なんだ! ああ何という恐しいことであろう!)
 新田先生は、たいへんな結論を引っぱり出したものである。
 火星は植物の世界だ! 植物が、火星を治めているのである。ちょうど、人間が地球を治めているように! 植物がいばっている星! 植物が高い文化をもっている星! それが火星なのだ。
 新田先生は、火星へ行ったこともなければ、火星の世界をくわしく研究した
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