あ、かわいそうに……」
「その時、わしは、森の中の一本の木の上にのぼって見ていたのだが、あまりかわいそうなので、何とかして、せめて子供だけでも助けてやりたいと思い、いろいろと助けてやる方法を考えたのじゃが、どうも、なかなかいい智慧が出ない。ところが、そのうち、ふと、思いついたことがあった」
「何です、その思いつかれたことは?」
「それはほかでもない、わしが持っていた長さ五十メートルの長い巻尺《まきじゃく》じゃ」
「巻尺? あのぐるぐるまいて、ケースにはいっているあの巻尺のことですか」
「そうじゃ、その巻尺じゃ。わしが火星へ持って行ったやつは特別につくらせたもので、丈夫な鋼鉄で出来ている。わしは、その巻尺の一端に、わしが護身用に持っていた猟銃をゆわいつけると、木の上から、やっと掛声をして、十メートルばかり離れた牢へなげこんだのじゃ」
「あはははは」
と、新田先生は笑い出した。
「なぜ、お前は笑うのか」
「博士、ほら話はいけませんね。いくら博士がその時お若かったにしろ、そんな重いものを、十メートルも離れた遠いところへ、やすやすと投げられるものですか」
「お前こそ、何をたわけたことをいう。
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