は、これまでのいろいろなことが思い出されて、いたいくらいだった。
 だが、先生はいつまでも、めめしくはなかった。地球の壊滅は、もう間近にせまっているのである。めめしく涙ぐんでいる時ではない。
「博士、この火星人たちは、どうしてここにいるのですか」
 と、先生は質問の矢を博士に向けて放った。
「ああ、この二人のことかね」
 博士は、長くのびて、額に落ちかかる白い髪をかき上げながら、先生の方を向いた。
「この二人は、ずっと前わしが火星に行った時、助けて連れて来てやった火星人なんだ」
「え? 博士は火星へ行かれたことがあるのですか」
 先生は、びっくりして尋ねた。
「おや、そのことはまだ話をしてなかったかね」
「それはうそです。博士は、人間の力では火星へ行けないと言われたことが、あったではありませんか」
 と、先生はつっこんだ。
「うむ、たしかにそれは言った。しかしそれは、一般の人間をさして言ったのじゃ。わしの力は人間以上だ!」
 と、蟻田博士は、いばって言った。
 人間以上!――という言葉には、二様の意味がある。わしは、すぐれた人間だというのか、それともわしは人間ではないぞというのか、どっ
前へ 次へ
全636ページ中377ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング