かいいのが見つからないのだ。わしは、日本アルプスの雪を掘りつづけて、やっとこれだけ取って来たのだ。ほら、この通り」
博士は、小さい紙づつみを解いて、中から小さいガラスびんを取出した。びんの中には褐色の草の根のようなものが押しこんであった。そこで火星人は、また喜びの声をあげた。
博士は鞄の中から小さなすり鉢を取出し、その中へ草の根を入れて、ごしごしとすった。すると褐色のねばねばした汁が、鉢の底にたまって来た。
博士はその汁を筆の先につけ、苦しそうにあえいでいる病気の火星人の、手だか足だかわからないが、そのつけ根のところへ、ぬってやるのであった。
火星人は、きいきいと声を立てた。
「どうじゃ、気持がよくなったろう。当分まあこれで、しんぼうしているんだ。もうあと、しばらくすれば、火星へつれて帰ってあげるから、元気を出しなさい」
博士の言葉を、新田先生は、ふと聞きとがめた。博士はこの火星人をつれて、火星へ行くと言ったではないか。
「どうかね、薬をぬると、しみるかね」
と、蟻田博士は、やさしく火星人にたずねた。地球の人間はきらいだが、火星人は好きであると見え、別人のように、やさしい声
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