じゃ。その手柄にめんじて、わしは、これまでのお前の罪を許して、もう一度、門下生として教えてやろう」
博士は、横柄《おうへい》な口をきいた。
蟻田博士のきげんが、大へんいいので、新田先生は、この時とばかり博士に聞いた。
「博士、モロー彗星が地球にぶつかる日が、いよいよ近づきましたが、どうにかして人類を助ける工夫はないでしょうか」
博士は、ひげをふるわせ、新田先生の顔をじろりと睨み、
「助ける工夫はない。たとえ、助ける工夫があっても、今日のような、おろかな人間どもを助けることは無用だよ」
「そ、そんな、らんぼうな考えは、よくないと思います」
「わしは、今日の人類には、あいそがつきているのだ。そんな連中を助けてみたって、始らんではないか」
「博士、そんなことを言わないで、人類のために力を出してやって下さい。博士が本気になってやって下されば、モロー彗星衝突の惨禍から、かなりたくさんの人間が救われるのではないでしょうか。救われれば、どんなに心がけのわるい人間でも、心を入れかえるに違いありません」
「わしは、そんなことを信じない。助けを乞う時には、ちょっといい人間になるが、助けられてしまった
前へ
次へ
全636ページ中371ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング