やっと駈けつけた小学生の一団も、犬が不思議なものをくわえて行くのを見た。
「何かくわえて行ったぞ」
「へんなものが、火星人の胴から出たんだそうだ。あれは皆、ぼくたちのだから、あの犬からうばい返せ!」
 そこで、小学生の一団は、大きな犬――それは多分、グレートデーンと言う種類の犬だと思われた――その大きな犬のあとを追いかけた。だが、犬はどこへ逃げこんでしまったか、なかなか行方は知れなかった。犬のくわえて行ったあの不思議なゴムだこの正体も、結局、何が何だかわからなくなった。ただ、人々の記憶に残ったのは、火星人の胴がこわれたこと、そうして胴中から、へんなゴムだこみたいなものが飛出したこと――この二つだった。
 大きな犬がくわえていったゴムだこみたいなものは、その後どうなったか、誰も知らない。
 その時の小学生たちは、そのゴムだこのことなどがあきらめきれず、いつもそのことを話し合う。
「あのゴムだこは、どうしたんだろうね」
「ああ、あのゴムだこをくわえていったの、大きな犬だね」
「グレートデーンという犬だろう、あの犬は」
「うん。そんなことは、どうでもいいんだ。僕はあの犬をきのう見たよ」

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