し、また、電柱のそばで電柱と話をしていたようにも、おぼろげながら思い出すのであった。
ところが、そのうちに、どこからか、足でも引きずっているような音が聞え、それが自分のそばへ近づいて来ることも知っていたのだ。彼は後へふり向こうとしたが、体が言うことをきかなかった。何しろあまりよっぱらっているので……。
その時、彼は急にからだを引きあげられたように思った。エレベーターが、こんなところにあったかななどと、へんなことを思った。
ばさり! ぱたん!
そんな音が聞えたように思う。
すると彼は、にわかに息ぐるしくなった。が、彼の体は、ひとりでゆらゆらとゆれはじめた。何か乗物に乗っているような気がするのであった。
その時へんなにおいがした。一体なんのにおいであろうかと彼は考えていた。
しばらくすると、その乗物がぱたりととまった。すると、乗物の窓がぱたんとあいて、人の顔がのぞきこんだ。それは火星人の顔であったのだが、そんなことには気がつかなかった。
(こんな年よりはだめだ! どこかへ捨ててしまおう)
と火星人が言ったことも、もちろんその紳士は知らなかった。そうして次に気がついた時、彼は
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