入!
それは、だまって許しておかれないことであった。およそ、地球の人間をばかにしたやり方であった。口では人間を助けてやるのだと言っているが、その実、このまま人間をほうっておけば、地球がモロー彗星と衝突の日に人間は皆死んでしまうであろうから、人間の死なない前に、その全部を火星へつれて帰り、これを火星の上で飼おうというのが、火星人の腹の中にあるほんとうの考えらしい。
思っただけでも腹の立つことである。人間ともあろうものが、家畜と同じように飼われたりしてたまるものか。火星の上で、人間が柵《さく》の中につながれたり、首に鎖をつけて火星人に引張って歩かれたり、そんな目にあって平気でいられるであろうか。火星人は、地球の人間の弱みにつけこんでいるのだ。人道から見て、許しがたいことである。
ある人々は、この際だから、火星人に助けを求めるより外なかろうと、弱音をはいていた。火星の外に、人間に近い生物のいる星はないのであるから……。
だが、そう言う人々は、だんだん火星人の腹黒さがわかって来るとともに、口をつぐんでしまった。彼らもやはり火星人のため、人間が奴隷のように使われることが、いやだったのであ
前へ
次へ
全636ページ中331ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング