ったが、地球上にある工場では、こんな風変りな機械室を持っているところはない。まるで、化学工場と変電所と要塞砲とを組合わせたような形だ。
 火星のボートの中を、すみずみまでよく見て廻ったのは、人間では佐々刑事が始めてであろう。
 佐々は階段をのぼって、だんだん上へいった。そうしてとうとう頂上までいった。
 すると、どこからか、何かしきりに話をしているような声が聞える。
「はてな、誰だろう?」
 と、佐々は廊下に立ちどまって耳をすました。
 話声は、壁の中から聞えて来るのであった。
「はてな、この壁の中に部屋があるらしいが、どこから出入するのかなあ?」
 と、佐々はあたりを見廻したが、別に扉もない様子であった。
 その時、話声はぴたりととまった。
「おや?」
 と、佐々は壁の方に耳をすりよせた。すると、どこかで、するすると扉の開くような音がした。佐々は、すばやくまたあたりを見廻した。
「あっ」
 ちょうど、彼の立っていたところの後の廊下のまん中に、大きな円い穴があきかかっている。それは、見る見る大きくひろがって、人間のからだがはいれるくらいの大きさになった。佐々は、これを見ると、すばやくか
前へ 次へ
全636ページ中320ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング