と見ると扉が少しあいている。
「おや、これは……」
 火星のボートの出入りは、かなりきびしかったから、これまでも、佐々刑事はその内部をうかがおうとして、ついに一度も、その目的をはたすことが出来ないでいた。ところが、今めずらしく火星のボートの扉が少しあいていて、中からぼんやりとあかりが見えるのであった。
「ふむ、これはもっけの幸いだ」
 と、佐々刑事は身をひるがえすと、ボートのそばへ近づいた。
 扉に手をかけて中をのぞいたが、いいあんばいに、誰もいない。火星人の番兵か誰かが、扉のかぎをかけ忘れて、どこかへ行ってしまったらしい。
「こいつはしめた。しからば、まっぴらごめんと、中へ入ってみるか」
 佐々刑事は、およそ世の中に、恐しいというものを知らない人間だった。だから扉があいておれば、後のことはたいして心配しないで、のこのこはいって行く彼だった。
 佐々刑事は、丸木と同じような姿をして、火星のボートの入口から中へはいりこんだ。
 誰もいない!
「おやおや、誰もいないぞ。どうしたというのかなあ」
 佐々刑事は、あたりをぐるぐる見廻しながら、しばらくそのへんを歩き廻った。がらんとした部屋で何も
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