火星人の勝で、地球人類の負となるだろう。これはたいへんなことになったものである。
「では、二十四時間の後に、お前たちは、人間狩に出発するのだぞ。それまでは十分に養分をとったり、人間に見あらわされないような練習を積んだりしておけ」
 丸木は、隊長らしくおごそかに命令し、そうして心こまやかな注意を、部下たちに与えたのである。
 先生は、さしせまった事件を前になやんだ。


   35[#「35」は縦中横] 佐々《さっさ》刑事


 こっちは、佐々刑事であった。
 彼は丸木のあとを追ってくらがりの中を歩いているうちに、とうとう相手のすがたを見失ってしまった。
 実はその時、丸木は隊員のところへ行って、例の二十四時間後に、東京へ出発のことを話すため、洞穴の中へはいっていったのである。そうして丸木の話は、新田先生によってすっかり聞かれてしまったのである。
 そうとは知らない佐々刑事は、丸木のすがたを見失ったことを、大変残念に思いつつ通りかかったのが、一隻の火星のボートのそばだった。
 その火星のボートは、例の通り大きな塔のような巨体を、地に対して、すこしかたむきかげんにしてそびえ立っていたが、ふ
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