が、歩く度に重そうにゆれた。
 すると、とつぜん先生は、明かるい光の中へ押出された。
「あっ!」
 先生の目は、くらくらとした。


   30[#「30」は縦中横] 妙な申出


 穴の中で、新田先生はとつぜんまぶしい光をあびせかけられ、はっとした。
 眼がくらくらとして、頭のしんが、つうんと痛くなった。そうして、ひょろひょろと、足元があやしくなって、踏みこたえるいとまもなく、その場にどすんと尻餅をついてしまった。
(どうにでもなれ!)
 先生はもう覚悟をきめた。
 耳元では、例の通り、ひゅうひゅうぷくぷくと、火星の生物が、奇声を出しながらしきりに騒いでいた。
 しばらくして新田先生は、とつぜん呼びかけられた。
「さあ、顔を上げなさい、新田先生」
 先生はびっくりした。いきなり人間の言葉で、呼ばれたのであった。しかも自分の姓まで、知っているのだ。
 一体自分を呼んだのは誰?
 新田先生は、光の中に顔を上げた。
 目の前に一人の男が立って、先生の方を見ていた。黒い長マントを着て、つばの広い帽子をかむった長身の男だった。眼には黒いふちの大きな眼鏡をかけているのだった。
「あっ、丸木?」

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