かりは草も木もなく、ただ一面に、灰色の石ころの原になっていた。掛矢温泉に湧出る湯も、実はこの地獄沢からぷうぷうふきだしているガスによって、地中で温められている地下水だった。
新田先生は、この温泉に落着いた。
このように、掛矢温泉がさびれているわけは、地下から湧出している温泉が、時々ぴたりととまって、温泉がお休になるせいであった。そのお休も、一日や二日のことではなく、時には半年も一年もとまっていることがある。それでは客が行くはずがない。新田先生は、学生時代ここへ時々行ったことを思い出し、今度も病後の体をこの湯で温めようと思って足を向けたのだ。
掛矢旅館を、ひょっくりとおとずれた新田先生は、そこの主人の弓形《ゆがた》老人から、たいへん歓迎を受けた。
「ああ、新田さんだね。いい時においでなすった。長いこととまっていたうちの温泉が、一昨日《おととい》からまたふきだしたんでがすよ。これがもう三日も早ければ、せっかくおいでなすっても、お断りせにゃならないところじゃった」
「ああ、そうかね。僕は運がよかったというわけだね」
先生は、笑いながら、勝手をよく知った上にあがった。
弓形老人は大喜
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