木は、ついに床の上に、どしんと転がった。首は、手からはなれて、壁にぶつかった。
「しめた!」
佐々は、連の警官に目くばせして、起きあがろうとする丸木の上から、どうんと、とびついた。
それから先が、たいへんなことになった。丸木は二人力も三人力もあるとみえ、なかなかひるまなかった。三人は、上になり下になり、蟻田博士の秘密室に、ほこりをたてた。勝負は、なかなかつかない。
その組打のまっ最中に、とつぜん思いがけない一大|椿事《ちんじ》がもちあがった。
それは、どうんという地響《じひびき》とともに、にわかに床が、ぐっと上にもちあがると、たちまち部屋は、嵐の中に漂う小舟のように、ゆらゆらと、大ゆれにゆれはじめたのであった。
地震? 地震なら、よほどの大地震であった! 壁は、めりめりと大音響をあげて、斜に裂けだした。柱がたおれる。天井がおちて来る。あっという間に、五人の者は、倒壊した建物の下敷になって、姿は見えなくなった。
思いがけない大異変であった。五人の運命はどうなったか?
思いもよらない大地震に、蟻田博士の建物は、がらがらと崩れてしまった。
その下になった人々は、一体どうなっ
前へ
次へ
全636ページ中247ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング