上から何かうなるような声が聞えた、と思つていると、階段上の蓋は、左右にぐうっとあきだした。
 蓋はあいたのだ。今こそ、外へ出られるようになった。
「さあ、おいで。千二君、早く……」
 と新田先生は、千二の手を取り、階段を上にかけ上った。さだめし、そこには博士が白い髭をぶるぶるふるわせ、大おこりにおこって、つっ立っていることだろうと思った。――ところが、それは思いちがいであったのだ。
「あっ、君は……」
 床の上におどり上った新田先生は、非常な驚きにぶっつかった。先生は、さっと体をひねると、自分のあとから出て来た千二を後にかばった。
「き、君は、何者だ! 生きているのか、死んでいるのか」
 いったい先生が目の前に見た相手というのは、何者であったろう。
 黒い長いマントを着た肩はばのいやに四角ばった怪物が、新田先生に向かい合っている。だが、その怪物には首がなかった。
 首のない長マントの怪人だ!
 さてこそ、新田先生は、「君は生きているのか、死んでいるのか」とたずねたのだ。
 その怪人は、獣のように低くうなるばかりで、口をきかなかった。
「向こうへ行け。ぐずぐずしていると許さないぞ」
 よ
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