いた同僚に、博士がどっちへ行ったかをたずねたが、誰も知らない。戸外をすかして見たが、街灯がほの明かるい路面には、夜更《よふけ》のこととて、行人の姿は見えなかった。
「しまった」
 刑事は、案にたがわず、博士の行方を見失って、弱ってしまった。
 が、彼は、突然手をうった。
「そうだ。なあんだ、わかった、わかった」
 刑事は、急に元気になって、自動車を呼んだ。
「どっちへやるのかね」
 と、運転台の同僚が聞いた。
「麻布だ。蟻田博士邸へ直行してくれたまえ」


   25[#「25」は縦中横] 去らぬ足音


 話は変って、ここは、蟻田博士邸の地下室の中だ。
 新田先生と千二少年とは、階段の下に閉じこめられて、どうしてよいか困ってしまった。誰がどうして階段の上の蓋を、しめてしまったのだろうか。それをいぶかる折しも、二人の頭上に、こつ、こつと重い足音が近づいた。誰もいないはずの部屋に、人の足音がする! では、博士が帰ってきたのか? それとも、別の人であろうか。新田先生と千二少年とは、声をのんで、じっと足音のする頭上を見上げた。
 こつ、こつ、こつ、こつ。
 怪しい足音は、なおも頭の上を歩き続
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