っきから、千二少年に会わせてくれと言っているのに、いないならいないと、なぜ早く教えないのか」
これには、課長もまいった。博士の怒るのは道理であった。だが課長としては、自分が今困っている問題につき、博士から一刻も早く知識をすいとりたかったのである。それは課長の利益だけではなく、広く日本人のためになることでもあったから、そうしたのである。はじめから、千二はいないと答えれば、博士は、そうかと言って、そのまま帰ってしまったであろう。でも博士の怒りは、なかなかしずまらなかった。
「うーん、けしからん。君たちはいつでもそうだ。このわしを、だましては喜んでいる」
「博士、それは違います。警察官がだますということは、ぜったいにありません。どうか、考えちがいをしないように願います」
「いや、いつもわしをだましているぞ。この後は、君たちが何を聞いても、わしはしゃべらないぞ。そうして、わしはわしで勝手に思ったことをする」
博士は、いよいよきげんが悪い。ステッキをにぎつている博士の手は、ぶるぶるとふるえて、今にも課長の机の上の電話機を叩きこわしそうである。低気圧がやって来たようなものだ。
これには、さす
前へ
次へ
全636ページ中224ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング