と少年とは、どこかに生きているとしか、思われない)
 と、大江山捜査課長は、現場の模様から、そういう断定をした。そうして、刑事の佐々に笑われたのであった。
(佐々が笑うのも、むりではない。あの崖から落ちて、こんなにこわれてしまった自動車に、乗っていた人間が死なずに生きているなんて、べらぼうな話だ。しかし、現場の模様は、それにちがいないと教える!)
 大江山課長は、永年の経験で、どこまでも証拠のうえに事件の解決をきずいていく人だった。証拠のないものは、決して信じないのだ。
 ともかくも、課長の推察の半分は、たしかにあたっていた。なぜならば、千二少年が、ちゃんと生きていたではないか。
 だが、大江山課長も、まさか自動車が崖をふみはずす前に、千二少年が車外へつきおとされたのだと、そこまでは、気がつかない。
 千二少年は、助って、ちゃんと生きている。では残りの怪人丸木はどこにいるのであろうか? そうして、どうして、命をとりとめたのであろうか?


   19[#「19」は縦中横] 怪力《かいりき》


 大江山課長は、崖の下に集っている警官や、刑事たちを励まして、再び念入の捜査をするように命じ
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