、こっちへ出て来たまえ」
 先生は、床下にひそんでいるのは、刑事かも知れないと思ったので、なるべく鄭重に言った。
 新田先生は、マッチを出して火をつけた。
「とにかく、こっちへ出て来たまえ」
 と、空気穴から声をかけた。
 すると、床下では、ごとんごとんとつづけざまに音がしたが、やがて何者かが、こっちへごそごそはい出して来る様子。
「いよいよ、おいでなすったな」
 と、新田先生は、体を建物の土台の方へよせて身を守りながら、また新しいマッチに火をつけた。
(もし、変な奴だったら、この空気穴から頭を出したとたんに、力一ぱい首をしめてやろう!)
 そう思って身がまえたとたん、近づいた床下の怪物は、
「先生、新田先生ではありませんか」
 と、意外な言葉を発したのであった。
 驚いたのは新田先生だ。下手をすれば、どうんとピストルのたまぐらい、こっちへ飛んで来るだろうと思っていたのに、意外も意外、その怪物は自分の名を呼んだのであった。
「だ、誰だ!」
 新田先生は、どなり返した。
「先生、やっぱり、新田先生だ。僕です、僕です」
 僕です、という声とともに、空気穴からかわいい少年の顔が、こっちをのぞ
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