は、そんな電話をかけたおぼえがないんだ。その話をくわしくしてくれたまえ」
「いや、それは驚きましたな」
と、掛長は、あきれ顔でその先を語り出した。
その話の要点は、つまり、今朝ほど、全く課長にちがいない声でもって、電話があったというのに過ぎなかった。その声も、言葉のしゃべり方も、全く課長にちがいないので、
「すぐ千二少年を放免しろ」というその命令にしたがったのだという。その話を聞いて、大江山課長の顔は、急に青くなった。
13[#「13」は縦中横] りっぱな自動車
千二少年は、どうなったろうか。
その朝、彼は、突然ゆるされて、留置場を出た。
「おい、千二君、もう二度と、こんなところへ来るのじゃないよ」
と、佐々刑事が言った。
「ええ、もう二度と、来やしませんよ。だいいち、今度だって、僕は何にもしないのに、まちがって、こんなところに入れられたんですからね」
「まちがって入れられた、などと思っていちゃ、いけないよ。だって千二君、君の連《つれ》の丸木という男は、確かに人を殺して逃げたんだからね」
「でも、僕は、何にもしないのです」
「何にもしないかどうか、証拠がないから
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