ないと、気が落ちつかないのであった。いってみてよかった。これまでに手がけた事件とちがって、全く妙ちきりんな事件である。警視総監も、さぞ驚かれることであろう。
 課長の乗った自動車は、お濠を右に見て、桜田門の向かいに立ついかめしい建物の玄関に着いた。この建物こそ、わが帝都を護る大きな力、警視庁であった。
 課長は、一旦《いったん》、自室へはいったが、すぐ席から立って、総監室へはいった。
 課長は、なかなか出て来なかった。彼が出て来たのは、それから約一時間もたった後のことだった。総監も、課長の報告によって事件の重大性に驚き、今後のため、いろいろと念入な打合わせが、行なわれたものらしい。
 課長が自席へ帰って来ると、それを見かけた佐々刑事が、課長のところへ飛んで来た。
「やあ、課長。ごくろうさまですなあ。で、その火星の火柱とか、火星の化物とかいう怪しいものの正体は、わかりましたか」
 課長は、それに返事をするかわりに、首を左右にふった。
「えっ、やっぱりわからないのですか。課長にもねえ」
 大江山課長は、溜息をついた。
 そうして佐々刑事に向かって、
「おい、皆にここへ集ってもらってくれ。千
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