用意をするのか。お前たちがどんな用意をしようと、結局むだなことじゃ。おとなしく死んでしまうがいい」
博士は、地球とモロー彗星との衝突する日を、なかなか言おうとはしなかった。新田先生は、ますますいらいらして来るのだった。
「もし、博士。なぜそれをおっしゃって下さらないのですか」
「まあ、いいよ。そんなことを聞いても、なんにもなりはしない」
博士は、頑として言わなかった。
「まだ一年ぐらい先ですか」
「さあ、どうかな」
「それとも一箇月後でしょうか」
「さあ、どうかな」
博士は、同じことを言いながら、望遠鏡にしがみついている。
「どうしても、おっしゃって下さいませんか。では、よろしい。僕は、誰かほかの天文学者のところへいって、それを聞いて来ます」
新田先生はとうとうおこってしまった。いつもは決しておこらない先生だったが、地球が粉みじんになるという恐しい話を聞いたので、少し取りみだしたかたちであったと、先生のために言いわけをしておきたい。
それを聞くと、博士は初めて望遠鏡から目を離した。そうして新田先生のそばへ近づき、両手を後に組んで、若い弟子の顔をのぞきこむようにして、
「ははは
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