丸木のからだは、どうなったであろうか。
 やがて硝煙は、風にふかれて、ペペ山の方へ、うごいていった。
 煙のはれ間から、岡が見えて来た。岡の形は、全くかわっていた。
 岡の上には、何があったか。
 そこには、見るもむざんに掘りかえされた、弾のあとがあるだけであった。もちろん丸木のすがたは、どこにも見えなかったし、彼の大きなむぎわら帽子の焼けこげのきれ一つおちてはいなかった。
 丸木のからだ全体が、消えてなくなったのである。大英雄と自らうぬぼれ、我こそは火星王であるぞと、大きなことを言った彼、丸木も、ついに煙となりはてて、あとには、何のしるしものこさなかったようであった。
 アグラスは、そこで全軍に命じて、どっと、ときのこえをあげさせた。


   72[#「72」は縦中横] 大団円


 丸木が、ついに、あわれな最期をとげたことは、火星国の王城にも、すぐわかった。新王ロロは、そのありさまを、テレビジョンで、すっかり見ていたのだ。
 そこで、ロロ王のつかいが、洞窟へ来た。
 そのつかいの者は言った。
「丸木は、とうとうあわれな最期をとげてしまいました。そうして火星国は、新王ロロのもとに、すっかりおさまりました。どうか、御安心のうえ、これからすぐさま、王城へおいで下さい。新王ロロが、お待ちかねでございます」
 博士は、それを聞いて、たいへんよろこび、
「ああ、それは、おめでたい。それでこそ、わたしたちの骨おりがいが、あったというものです。さあ新田、千二、新王ロロに、おめでとうを言いにいこうではないか」
「はい、おともしましょう。千二君も、いくだろうね」
「ええ、先生、いきますとも。火星国の王城というのは、どんなところだか、早く見たいですね」
 そこで三人は、新王ロロのつかいの者に、あんないをたのんで、そのうしろから、ついていった。
 洞窟の外には、うつくしい色にぬられた小舟のようなロケットが、待っていた。
 三人は、それにのりこんだ。
 するすると音がして、波形の大きなふたがひきだされ、千二たちのあたまの上を、おおった。なんだか、莢《さや》えんどうのような形になった。
 ロケットは、たいへんのりごこちがよく、見る見る空中にとびあがり、雪をかぶっている山の上をとびこし、それから、緑のもうせんを、きちんと、ごばん目にしきつめたような緑地帯の上をはしりぬける。すると、その向こうに、こんもりとしげった、たいへん大きな森林が見えて来た。つかいの者は、その森をゆびさし、
「あそこに大きな森が見えますね。あれが王城です。新王ロロは、あそこでお待ちかねです」
 ロケットは、王城の森の入口に、しずかに着陸した。
 そこには、蟻田博士たちを出むかえの、えらい役人や軍人が、ならんでまっていた。彼等は、すきとおった長いころものようなものを着ている。
 千二から見れば、だれもかれも、みな、おなじような顔に見えた。
 首相モンモンが、まえにすすみ出て、博士にあいさつをした。
「蟻田博士でいらっしゃいますね。ロロ王が、おまちかねです。どうぞ、こちらへ……」
 森の中の、ふしぎな景色は、千二をおどろかした。上から見れば地球の森とおなじであるが、こうして、地上から森の中にはいって見ると、地球の森とは全然ちがっている。なんという木か知らぬが、左右から大きな根をはり、それがくみあい、まるで、籠をふせたような形になっている。その正面に、門のような入口があいている。蜜蜂の巣箱の下に、蜂の出入する穴があるが、それによく似ている。
「どうぞ、こっちへ、おはいりください」
 首相モンモンは、先に立って、その門の中へはいっていった。千二も、蟻田博士や新田先生のうしろから、ついていった。
 入口をはいると、はばのひろい大きな階段が地下へつづいている。地底に、りっぱな宮殿があるのであった。きらきらと、うつくしい灯火が、その中でうごいている。
「おおロロ王が、あそこにおられる」
 蟻田博士は、そう言って、うしろにつづく先生と千二に、注意した。
 階段の下には、王冠をかぶり、黄金でこしらえたうすいころもを着た、りっぱな火星人が立っていて、博士の方へ、手をのばした。
「ああ蟻田博士。よくおいでくださいましたね。おかげさまで、ごらんのとおり、火星国は、りっぱにおさまりました。お礼を申しますよ」
「おお、ロロ王。ごりっぱです」
 博士は、ロロ王の手をしっかりとにぎった。
 森の王城では、この夜、新王ロロと副王ルルとが、蟻田博士たちに、お礼をする意味で、たいへんな大宴会を開くことになった。
 そのときは、もう太陽が沈んで、夜になっていた。あと一時間もたてば、大宴会場は開かれることになっていた。
 千二も、王城内の火星人たちから、ちやほやされるので、わるい気もちはしなかった。はじめは火星人がきみが
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