に、ちょうどはいってきた宇宙艇を、これさいわいと、うでに力を入れて、引金をひいた。
 ごうん、ごうん。
 機関砲からは、ガス弾が、うなりをあげて、とびだしていく。
 たちまち、火星の宇宙艇の胴中に、ミシンで穴をあけたような穴があいた。そうして、その穴からは、黄いろい煙が、すうっとでてきた。
 それが、その宇宙艇の致命傷であった。
 宇宙艇の巨体は、まもなく、胴のまん中から、ぱくりと二つにわれた。そうして、あわてふためき、空中にほうりだされる火星人が、黒豆を、ふりまいたように見えた。こんな痛快なことはない。
「撃て、撃て! 新田!」
 博士は、はげました。
「やります!」
 と、さけんで、先生は、ねらいを次へうつした。
「撃て、撃て!」
 博士は、叫ぶ。
「やりますっ!」
 新田先生は、敵の二番艇にねらいをつけて、引金をひいた。
 ごうん、ごうん、ごうん。
 ガス弾は、大空艇のへさきから、たてつづけに、撃ちだされる。
 敵の二番艇は、たちまち、黄いろいけむりにつつまれてしまった。
「ああ、先生、あぶない。うしろから、やってくるのがいますよ」
 千二少年が、叫んだ。
「なに、うしろから?」
 先生は、博士の方を見る。
「うしろは、ほうっておけ。うしろから来てもかまわん」
「大丈夫ですか、博士」
「大丈夫だ」
 と、言っているとき、大空艇は、突然烈しい震動をはじめた。
 がらがらがら、がたがたがた――と、今にも、大空艇が、ばらばらになってしまいそうに、烈しく震動する。
「博士、あの音は……」
「あの音か。あれは、うしろから来た火星の宇宙艇が、怪力線を、わが大空艇に、あびせかけたのだ」
「えっ、この艇に、怪力線が命中したのですか。そいつは、たいへんだ。艇はこわれてしまうのではありませんか」
「大丈夫だと、いくども言っているではないか」
「しかし博士、怪力線という奴は……」
「心配するな。そんなこともあろうかと、わしは、わが大空艇の外に、怪力線よけの遮蔽網をはっておいた。あの音は、その遮蔽網が怪力線を吸いとる時に出る音だ」
「ああ、そうですか。それは、よかった」
「おい、撃て、新田。あと三台の敵艇を、はやいところ、片づけろ」
 今、かれとわれとの戦闘は、火のように熱している。
 二台はうちおとされ、のこる三台の火星の宇宙艇は、にげるかと思いのほか、さらにはげしく蟻田艇におそいかかった。怪力線は、まるで大雷雨の中の電光のように、蟻田艇をつつんだ。艇を、やいてしまおうと、火星人はやっきとなっている。
 しかし、博士が、あらかじめこのことを考えて、艇をつつんでおいた遮蔽網は、よく怪力線をもちこたえている。
 時に怪力線は、はげしく艇の外を金づちで乱打するようにきこえる。そうして今にもこわれそうに、ものすごく震動する。そのたびに、
(もう、いけないのじゃないか)
 と、新田先生は気が気でない。
 だが、いつも、蟻田博士の用意しておいた遮蔽網は、怪力線をくいとめる。
「新田、どうした、早く撃てというのに……」
 博士のさいそくだ。
 先生は、
「ただ今……」
 と、こたえる。
 が、引金を引くいい時が、なかなかやってこない。敵の艇と、あまり近くによって、ぐるぐる空中戦をやっているため、敵の艇が狙いにはいって、さあ撃とうと思うとたんに外《そ》れてしまうのである。
「ガス砲は、撃放しにせよ。味方は一機だけ、敵は多い。どれにでも当ればいいのだ」
 博士のことばに、はげまされて、先生は思い切って引金を引放しにしていると、当るわ当るわ、たちまち敵の二台は煙をあげてふらふらとおちだす。
 そうなると、のこりの一台は、さすがに気おくれしてか、火星兵団の本隊のいる方へ、かじをとってにげだそうとした。
「待て、にがすものか」
 小気味よい追撃で、その一台もとうとう黄いろい煙をふきだして下界へ……。


   59[#「59」は縦中横] 命中また命中


 火星の宇宙艇五台は、蟻田博士のため、みんな撃墜されてしまった。
 新田先生も、千二も、ともに大よろこびであった。
「博士、うまくいきましたね。ばんざいです」
「すごいなあ、この大空艇は」
 博士は、べつに、それほどうれしそうな顔をしなかった。
「これくらい、なんでもない。目ざす相手は火星兵団長の丸木だ。たたかいは、これからだよ」
 博士は、気をゆるめなかった。
 そのとき、千二少年が、おどろきのこえをあげた。
「あっ、きました、きました。新手の宇宙艇が、こっちへとんできます」
「うむ。森の中の大江山隊を攻めていた火星兵団が、われわれに気がついたのじゃ。そうじゃろう、宇宙艇が五台ともやっつけられたので、これはたいへんというわけじゃろう」
「こっちへきます。みんなきます」
「千二、丸木ののっている宇宙艇は、まだみつか
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