じを、ゆるめにかかった。
「あれっ! これは、ねじがさびている。なかなかうまく、まわらないぞ。うん、うん」
 丸木は、うなりながら力いっぱい触手でもって、ねじをゆるめたのであった。ところが、あまり力を入れすぎたものだから、ねじの一つが、ぽろんともげ、こつんと音を立てて下に落ちた。
「ああっ、痛っ!」
 千二が、悲鳴を上げた。
「おお、かわいそうに……」
 丸木はあわてた。
 千二は、もだえながら、ぱたりと下に倒れてしまった。
「しまった。千二よ、死んじゃいかんぞ」
 丸木が、少年のそばへ、かけよろうとした時、この室にとりつけてあった警報のベルが、けたたましく鳴り出した。
 じゃん、じゃん、じゃん、じゃん。
「おお、警報ベルだ。どうしたのかな」
 丸木はびっくりして立ちすくんだ。
 その時、かべにしかけてあった高声器から、大きな声で火星語が鳴り出した。
「兵団長、たいへんです。わが兵団は、ただ今大損害を受けつつあります。すぐお出でを願います」
「大損害とは、どうしたんだ。何事がはじまったのか」
「たいへんです。宇宙艇がぽかぽかこわれていくのです。どんどんかけて、煙のように消えていくのです」
「なんじゃ、宇宙艇が煙に……。そうか、それはたいへんだ。今、そっちへいくから、みんなに、しっかりしろと言え」
 兵団長丸木は、びっくりして部屋をとび出していった。あとには、千二一人が、床の上に長くなっている。
 たいへんだ!
 原因はわからないが、火星兵団の乗って来た宇宙艇が、今一大事である。しゅっしゅっと宇宙艇が、はしから煙になって、くずれていくという報告であった。
 火星兵団長の丸木も、これを聞いておどろいた。彼は、あわてて外へ飛出した。
「おお、こいつはゆゆしい一大事だ!」
 丸木は、ぼんやりしてしまって、煙を上げている宇宙艇を不思議そうにながめている。
「兵団長、あのとおりです。あっ、こっちの宇宙艇からも煙が出て来ました。やられた宇宙艇は、これで、もう六隻か七隻になります。どうしましょう、兵団長」
 参謀とも見える火星人が、あわてくさって丸木の肩をたたくのであった。
「おおこいつは、ゆゆしい一大事だ!」
 と、丸木はまるで夢を見ている人のように、ひとりごとをくりかえした。
「兵団長、命令を出して下さい。急ぎ地球から引上げろ! とでも、おっしゃって下さい。このままでは、我々の火星まで乗って帰る宇宙艇が、全滅してしまいます」
 参謀の声は恐しさにふるえていた。
「うーん、こいつはよわった。敵のやつ、蒸発ガスを砲弾にこめて砲撃して来たんだな。こっちにゆだんがあった。おい、逃出すことよりは、敵の砲兵陣地を探しあてることだ。早くいって、この砲弾を撃出している陣地を探して来い」
「敵の砲兵陣地ですか。へーい」
 一度言出したら引かない丸木だった。それを心得ているから、参謀の一人は駈出していった。観測台のある宇宙艇のところへいって、人間隊の砲兵陣地を探させるためだった。
「参謀、よくわかりません。山のかげになっていて、陣地など見えはしません」
「そうか、山のかげになっとるか。それは困ったなあ。なんとかして知る方法はないか」
「さあ、困りましたな」
 火星兵団は、めずらしく負け色である。
 観測台のある宇宙艇の下で、参謀と観測兵とが押問答をしている時、ばたばたと音がして、また二名の火星人がかけつけて来た。
「おい、兵団長が返事を待っておられるではないか。どうしたんだ。人間隊の砲兵陣地がある場所は?」
「おい、早くしろということだ。ぐずぐずしているから、また宇宙艇が三隻ばかり煙になってしまったぞ。これでは約束が違う。こっちの命があぶない」
 参謀は、ううんと、うなっていたが、
「よし、仕方がない。この上は兵団長に言って、少しも早く宇宙艇を全部、空に舞上らせることだ。それしか助かる方法は考えられない」
「じゃ、早く兵団長にそう言って下さい」
 そこで三名は、一かたまりになって、丸木の待っているところへ、もどって来た。
 参謀がそれを言うと、丸木はきげんを悪くして、
「なんだ、たったこれだけのことで兵団全体が引上げるなんて、そんな弱いことを言っちゃいかん。第一、今全部の宇宙艇が飛出せば、せっかくあそこに捕虜にしてある人間や家畜なんかが、みんな逃げてしまうじゃないか。よろしい、観測をするために、二隻だけ空中へ飛出せ」
 二隻だけ飛出せ!
 そういう命令だったけれど、やがて空中へ飛出した宇宙艇は二隻ではなかった。その数は、およそ三、四十隻、いずれも逃足のついた臆病連中ばかりであった。
 そうでもあろう。命と頼む宇宙艇が煙となってしまい、その時、自分たちも一しょに、しゅっしゅっと煙をはいて、死んでしまったのではやりきれない。
 十号ガスを砲弾につめて、火星兵団を
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