手をとられて、おなじく宙を飛んで行くのであった。
「丸木さん。もうすこし、ゆっくり走って下さいよ」
千二は、いつもおくれがちで、そのために、途中、木にぶつかったり岩石にあたったりして、大事な服やかぶとが、今にもこわれそうで、心配であった。
「ぐずぐず言うな。早く、おれが行ってやらんと、味方が敵にやられてしまうではないか。しんぼうしろ」
そう言って、丸木は、どんどん走る。
そのうちに、前面に、海が青白く光っているのが見えだした。そうして、長い岬がつきだしている。クイクイ岬であった。このクイクイ岬は、まるで戦艦の檣楼《しょうろう》のような形をしていた。つまり、細長い要塞だと思えばいいのだ。しきりに、硝煙のようなものが、あがっている。
「ああ、やっているな。おい千二、あれがクイクイ岬だ」
千二は息を、はあはあ切らせつつ、クイクイ岬の様子に、ひとみを定めた。
どがどがどが。
どがどがどが。
奇妙な音が、しきりに聞える。
「おお、なるほど。ペペ山に、敵のやつがたてこもっている。ものすごい砲撃戦の真最中だ。ふん、なるほど。敵は、いつあのような大砲を手に入れたか。けしからん話じゃ」
高いペペ山と、その下に入江をへだてて向きあうクイクイ岬要塞との間に、今や、撃ちつ撃たれつの砲撃戦がくりひろげられている。
どがどがどが。
どがどがどが。
砲弾は白い尾をひいて、上へ下へと飛交う。
どがどがどが、どがどが。
ペペ山にたてこもったのは、ロロ公爵軍であった。その前のクイクイ岬要塞を死守しているのは、火星兵団であった。そこへ丸木がとんで来た。
「おい、どうした。みんな元気がないじゃないか。撃て、撃て」
そこへ、クイクイ岬要塞の司令官があらわれた。司令官は、胸のところへ、湯たんぽを横にしたようなものをぶらさげている。それにはたくさんの釦《ボタン》がついている。その釦をおせば、どことでも話が出来るし、またどこでも見えるという機械であった。彼の大きな頭には、小さい円錐型の帽子がのっている。それが司令官であることを示す帽子であった。
司令官は、丸木戦争大臣のところへやって来ると、すべての触手を、孔雀が羽をひろげたように左右にひろげた。それは、兵団長に対する挨拶だった。
「丸木大臣閣下、相手がいけません」
「相手がいけないとは……」
「ペペ山にこもっているのは、火星の前の女
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