のロロ公爵とルル公爵は、にわかに元気づいたようである。
「おい、新田と千二君。お前たちに、これをわたしておく」
と、博士は二人を呼んだ。
二人が博士の側へいってみると、そこには、潜水服についている潜水かぶとのような形のものが三個、床の上におかれてあった。
「博士、これは何ですか」
と、千二は、不思議な顔。
「これを頭にかぶるのじゃ。いや、まだ今からかぶらなくてもいいが、大空艇が火星に着陸し、いよいよ火星の地面の上を歩く時には、これをかぶるのじゃ。そうしないと、われわれ地球の人間は息が苦しくなる。火星の表面では、空気が少いのだからなあ」
「ああ、すると、これは酸素を出すマスクですね」
「そうだ。このかぶとの横に、耳のような筒が左右にぶらさがっているが、この中には固形酸素がはいっているのだ。その上にある弁を動かせば、かぶとの中に出てくる酸素の量がかわるから、好きなようにやってみるがいい」
博士はそれから、かぶとを二人にかぶらせて、かぶりかたを教えたり、弁の動かしかたを教えたりした。
「どうだ、わかったか」
「ええ、わかりました。しかし、この重いかぶとをかぶると、僕は歩けないなあ。子供用のかぶとはないのですか。これは大人用でしょう」
と、千二は困った顔だ。
「いや、子供用というのはない。用意してなかったのだ。しかし、見かけは重いが、火星の上ではそんなに重くはないよ」
大空艇は、流星のように火星の表面へ落ちていった。
「あと三時間で着陸だ」
と、博士は言った。
火星は、いつの間にかどんどん大きくなり、そのころには、もう、たらいぐらいの大きさになっていた。実に、どんどん早く大きくなる。
大空艇は、かなりものすごい落下速度を出しているが、速度の変りかたがうまくいっているので、からだには、あまりこたえない。
千二は、火星に近づいたので、何だか、急に嬉しくなった。彼は、火星の見える窓にのびあがって、しきりに眺めている。
だが、変なことに、火星のおもては、地球のようにはっきりしない。何となく、どんよりと曇っている感じだ。
ちょうど、苔《こけ》のついた古い金魚ばちの中へ、地球儀をほうりこんで、それを外から見ているような感じだ。
千二は、そのことを新田先生に話した。すると先生は、
「それはね、火星の外側は、塵《ちり》のようなものが、たいへんたくさん集っていると、
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