だったのか。
だんだん見ているうちに、これが空飛ぶ大空艇であることが、はっきりしてきた。
博士のすわっているところは、たしかに操縦席であった。その前に、たくさんならんでいる計器は、空を飛ぶ時、ぜひとも、よく見ていなければならない速度計やコンパスや、そうして原子弾弁や加速度計などであったのである。
「おや、こいつは困ったぞ」
新田先生が、おどろいてふりむくと、博士は、にがい顔をして、しきりに、ボタンを押したり、スイッチを開いたり閉じたりしている。
「どうしました、博士」
「どうも、変だ。せっかくの原子弾エンジンが、ちょっと工合が悪いのだ」
「そうですか。困りましたね。どこが悪いのでしょうか」
「おお、ここがいけないのじゃな。冷却用の水が、うまくまわらないのだ。冷却管《れいきゃくかん》のいい材料がなくて、仕方なしに、つなぎ目に、ゴム管を使ってある。そのゴム管が、どうかしたのじゃないかと思う。ゴム管というやつは、折れたり、または上から重いものがのると、平ったくなってしまって、穴がふさがってしまう」
「博士、私が見てきましょう」
「お前に、わかるかなあ。しかし、わしは、ここをちょっと離れられないから、とにかくお前にたのもう。となりの部屋に、あかりをつけて、見てくれないか。ここに図面がある。ここのところだ」
先生は、図面を持って、操縦室よりも先の方にある部屋を開いた。
(冷却管の故障だ)
と、蟻田博士は、言うのであった。
新田先生は、ほんとうに、そうかしらと、うたがいながら、図面を片手に機械室の中をのぞいた。そこは、せまいところへ、ごてごてと機械がならんでいて、電線やパイプが、まるではらわたのように壁や天井を、いっぱいにはいまわっていた。
新田先生は、冷却管は、どこであろうかと、機械の間を見廻した。
そのとき、先生は、
「おやっ」
と、さけんだ。
「だれか、寝ている。人間だ!」
先生は、機械のうしろに、せなかを円くして、たおれている人間を発見して驚いた。
だれであろう? 何者であろうか?
先生はちょっと尻ごみしたが、やがて、勇気を出して、その寝ている男をひきおこしてみた。
「ああ、千二くんじゃないか!」
先生は、びっくりして[#「びっくりして」は底本では「びっくりしして」]大きな声を出した。意外にも意外!
この思いがけない大空艇の客は、彼の教え子の
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