が、それはほんとうのことなのだ。――その女王ラーラは、非常にすぐれた者じゃった。我々地球の生物のように、やさしい情ある心を持っていた。だから女王は、地球の人類と、たがいに手をとって、力になり合おうと考えた。それが、他の火星人どもの気に入らなかったのじゃ」
「火星国に、せっかく地球人類と手をにぎってやっていこうという女王ラーラが現れたのに、多くの火星人は大反対をして、とうとう女王を殺してしまった。女王だけではない。百人近い女王の子供たちも、ほとんど全部殺されてしまったのだ」
と、蟻田博士の不思議な話は続く。
「ほう、ずいぶん残酷な話ですね」
「残酷は、元来、火星人の持って生まれた悪い性質なのだ。わしは、女王ラーラとその子供たちが死ぬところを見たが、いやもう気の毒なものじゃった。火星人は、女王たちを、森の中につくった大きな牢にぶちこんだ。その牢は、上から見ると、円形で、高い壁にかこまれ、そうして天井がなかった」
「ほほう」
「女王たちを、この天井のない牢にぶちこむと、火星人たちは、今度は水をそそぎ入れた」
「水の中に、おぼれさせるのですね」
「そうではない。水は、わずか十センチぐらいの浅いものだったが、その後で投げこんだものが、恐るべきものじゃ」
と、博士は、その時のことを思い出してか、肩先をぶるぶるとふるわせた。
「何です、博士。そのおそるべきものと言いますと……」
新田先生は、博士の答えをもどかしがった。
「それは、一種の藻じゃ。見たところは、たいしたことのない緑色の藻じゃが、その藻こそ、恐るべき繁殖力を持ったやつじゃ」
「繁殖力?」
「そうじゃ。つまり藻がふえるのじゃ。その藻は、水の中では大へんな勢いでふえるのじゃ。しかも、そばに他の生物がいると、それにとりつき、その生物の体から養分をすいとって、どんどん繁殖していくのじゃ。恐るべき寄生藻だ」
と、蟻田博士は、そこでまた体をふるわせた。
「ああ、藻をつかって殺すなんて、始めて聞きました。火星の上には、とんでもない植物があるものですね」
新田先生は、ため息をついた。蟻田博士の語り続ける女王ラーラと、その子供たちの最期ほど風がわりな、そうして気の毒なものは、ちょっと外になかろう。
博士は、なおも語り続ける。
「――女王ラーラとその子供たちは、四日目には、その恐しい藻に包まれて、全く死んでしまったのだ」
「あ
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