博士邸跡の地底にひそんでいるその檻の中の動物は、大きな、たこのようなかたちをしていて、火星語を話す。
(火星語を話すからには、火星にいるもののようであるが、しかし火星人とは、形がちがうようだ)
新田先生は、怪人丸木を始め、山梨県の山中で見たたくさんの火星人の、あのいかめしい姿を思い浮かべた。
丸木たちは、ずっと形が大きい。背も、人間とほとんど同じくらいだ。ところが、檻の中の怪物は、それよりずっと小さい。大体、半分ぐらいの大きさしかない。
それから、まだ違うところがある。丸木たちは、まるでドラム缶のような、かたい胴をもっているが、それに引きかえ、この地底の怪物は、胴などはあるのかないのか、わからないくらい小さい。
こう考えて来ると、先生には、この地底の怪物と丸木たちの火星人とは、全く別の生物のように思われて来るのだった。不思議な動物だ。蟻田博士は前からこの怪物を飼っていたらしいが、どうしてこんなものを生けどったのであろう。そうして、また、なぜこんなものを飼っているのだろうか。
新田先生の頭の中には、いろいろと疑問が泉のように湧いて来て、とめようもなかった。が、先生は、ここで決心をかため、この怪物とよく話をしてみようと思った。
「私でよかったら、助けてあげようが、どうすればいいのかね」
新田先生は、例の変話機を口にあてて、ものを言ってみた。
怪物は驚いた。新田先生が、思いがけなく火星語を使ったので……。しかし、それは別に驚くことはない。先生は火星人から分捕った変話機を口にあてて、使ってみただけなのだから。
「ほんとうに、私たちを助けてくれますか」
怪物は、新田先生の顔を見て、喜びの声をあげた。
が、急にがっかりした様子で、
「いやいや、だめだ。蟻田博士でないと、私たちの取扱い方がわからない。せっかくだが、あなたでは、だめですよ」
そう言って、怪物はしおれてしまった。
「何、わけがないじゃないか。私は、この檻を破って君たちを出してあげよう」
そう言って先生は、そばに落ちていた鉄の棒を拾いあげると、檻の弱そうなところを打とうとした。
「ま、待った、待った」
と、怪物は叫んだ。
「えっ」
「そんなもので打っては、減圧幕に穴があいて、こわれてしまう。減圧幕に穴があけば、私たちは、一ぺんに死んでしまう」
と、怪物たちは、声をそろえて、新田先生が鉄の棒をふ
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