のさ。第三は、博士は心臓を凍らせて、五千年立ちん坊をつづけるだろうというのさ」
 ネッドは、よく覚えている。
「そういう予言だったかなあ」
 張が、感心していう。占った当人の張は、もうそんなことはきれいに忘れてしまったらしい。
「博士の寝床も墓場もないとは気の毒だ。すると博士は一体どこに寝たらいいんだろう。またどこにお墓をもったらいいんだろうか。その予言のとおりなら、博士はどうすることもできないじゃないか」
 と、山木はいう。彼はこのところ張の予言に大変興味をわかせているのだ。
「さあ、どういうことになるか、僕にはわからないね」
 ネッドも首を左右に振る。
「博士は心臓を凍らせて五千年も立ちん坊をしていなければならないのだって。いよいよ気の毒な博士だ。しかしなぜ、そんなに永い間立ちん坊をするんだろう。ねえ、張君」
「僕がなにを知るものかね」と張は強くかぶりを振った。
「おやおや、御本尊《ごほんぞん》がしらないんじゃ、誰にもわかるはずがない」
「その時がくれば何もかもわかるんだろう。時はすべてを解決するというからね」
 黙っていた河合二郎が、そういった。


   探険決意


 人工重
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