します。お料理なら自信があります」
と、張が前へのりだした。
「僕は何をしようかなあ。ボーイさんの代りをやりましょう」
これを聞いてマートン技師はたいへんよろこんだ。全く、本艇は十数名しか乗組んでいないので、手不足で困っているのだった。
マートン技師は早速このことを艇長デニー先生のところへ持っていった。先生は、お前に委《まか》せるといわれた。そこでマートンはいろいろの人にたずねてみた結果、張は料理人に、ネッドはボーイに、それから河合はマートンといっしょにエンジンの方を手伝い、山木は隊長デニー博士のところで雑用をすることに決った。そこで四少年は、
「それじゃ、めいめいの持場で、しっかり役に立とうね。しっけい」
と挨拶して、たがいに一時別れたのであった。
さて、そういう間も、一番たいへんなのは機関室であった。マートン技師のあとについてその室へとびこんだ河合少年は、そのとたんに心臓が停まる程のおどろきにぶつかった。機関室は二階から地下十階までの十二階をぶっ通した煙突《えんとつ》のような部屋だった。その艇長の部屋に、複雑な機械が幾重にも重なりあい、大小さまざまのパイプは魚の腸《はらわ
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