《せん》をかってやった。そして顔の血をすっかり拭ってやったので、山木の顔は元気に見えた。
そのときデニー博士は、ジグスを呼んで、ポケットから一挺《いっちょう》の古風なナイフを出すと彼の手に渡して、
「このナイフを、僕が怪我させた少年に対し、謝罪の意味で贈りたいと思う、君から伝達を頼む」
といった。そして博士は、人々の笑声と罵《ののし》りの声を後にして逃げるようにこそこそと、自動車の置いてある国道へ急いだ。
豪華な昼食
張《チャン》とネッドの二人が仕組んだ牛頭大仙人の占いは、思いがけなく大成功をおさめた。その証拠には、翌朝エリスの町を後にして、国道を北へ進んで行く例の箱自動車の中は、野菜と果物と缶詰とパンとで、いっぱいであった。そしてその間から張とネッドが、顔をキャベツのように崩して笑い続けていた。これだけの食糧があれば、来週一杯、食べものに困るようなことはあるまいと思われた。張もネッドも、これから大きい顔をして食事をとることができるのだ。
さしあたり、その日の昼食は、近頃になくすばらしいものだった。路傍にある松林の中へ入って、清らかな小川を前に、四人の少年は各自の
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