か》してくれるなら、明日からちゃんと稼いでみせるよ」
「へえ、おどろいたね。それはほんとうかい」
「ほんとうだとも」
「でも、稼ぐために毎日朝から晩まで稼がなければならないとすると、いつになったらコロラド大峡谷へ行き着けるか、わからないぞ」
 と、山木が注意をした。
「大丈夫だ。時間は夕方から二三時間ぐらいあればいい。きっと儲《もう》かるよ」
 ネッドは、だんだん自信にみちた顔になってくる。
「ネッド。一体何をするのか」
「まあ、それは明日までお預りだ。しかし少し舞台装置がいるね」
「えっ、なんだって、ブタイ何とかいったね」
「ああ、そうなんだ。この箱自動車の中にある布や道具などを利用してもいいだろう。僕は張と一しょに、いい儲けをとってみせるよ。だから夕方から二三時間、この箱自動車ごと僕に貸しておくれよ」
「大丈夫かなあ、またこの前のように崖から落ちるんじゃないか。そうなれば、僕たち四人は破産だよ。村へも帰れやしない」
「まあいい、あたいの腕前を見ておいでよ」
 ネッドはひとりで悦《えつ》に入っていた。


   のぞき穴


 ネッドはどんな方法で、稼ぐのであろうかと、山木と河合とは
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