を取付けることだった。だからこれはやれそうに見えたが、そこで実際に馬力と速力とを計算しているとエンジンが非常に能率を悪くする関係で、火星を出てから地球に達するまでに五ヶ年もかかることが分り、しかも五ヶ年間エンジンを動かすための燃料といえば莫大《ばくだい》なもので、とても用意が出来そうもなかった。こんなわけで、一行は遂に地球に帰還するための乗物を用意することが出来ないことが明らかとなった。一行の失望と落胆は、ここに記すも気の毒なほどだった。
「マートンさん。地球へ救援を求めることは出来ないのですか。つまり、別の宇宙艇をこの火星へよこしてもらうのです」
 河合が、マートン技師にいった。
「さあ、不可能だろうね。なにしろ火星まで届くほどの有力なる宇宙艇を作り得る組織を持っている工場は、わがデニー先生の火星探険協会をおいて他にないんだからね」
「宇宙艇というものは、全然他では出来ないのですか」
「今出来ているのは、われわれのものを除くとせいぜい月世界まで届くぐらいのものなんだ。それも一旦月世界まで行っても帰還することはむずかしいからね」
「困ったものですねえ」
「ああ、全く困った」
 いつも元
前へ 次へ
全163ページ中158ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング