箱自動車のうえであの愉快な狸踊をはじめたのだった。そして自動車はずんずん火星人の群に近づいていった。いきり立っていた火星人の群。棒を高くふりあげながら、じわじわとつめよせて来たその大群。――それがこのとき急に足を停めた。それからふりあげられていた棍棒みたいなものが、だんだんとおろされ始めた。
そればかりではない。やがて火星人たちはからだを左右へふりはじめた。
「證城寺の狸ばやし」のリズムに調子をあわせて……。
「しめた、火星人は音楽が分るんだな」
運転台の上の河合は、とびあがりたいほどのうれしさに包まれた。彼は自動車のスピードをできるだけゆるめた。そして電蓄の増幅器のつまみをひねって、音を一段と大きくした。
自動車は遂に火星人の群の中に突入した。奇妙な顔かたちをした気味のわるい火星人たちは、もはやこっちへ襲いかかる気配は示さず、自動車の通り道をあけた。
河合は、そこで思い切って、自動車を彼らのまん中にぴったりと停めた。
火星人たちは自動車のまわりに大きい円陣を作った。彼らはますますからだを大きく左右へふって、リズムを楽しむ風であった。
そのうちに彼らは、大きな頭をふり、蛸の
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