星の上では、重力が地球の場合の約三分の一しかないんだ。だから摩擦《まさつ》も三分の一しかないから、えらくスピードが出てしまうんだ」
「そうかね。そんなことがあるかね」
 山木には、ふしぎに思えた。
 そのとき河合が、あっと声をあげた。と、自動車は大きくゆれ、かたんとはげしい音をたてて停ってしまった。
「うわッ」
 箱自動車の上に乗っていた張とネッドは、いきなり空中へ放り出され、あっと思う間もなくばさりと砂の中へ叩きこまれた。砂だったからよかった。もし岩であったら、頭をめちゃくちゃにくだくところだった。
 火星人の群から、きゃんきゃんと、奇妙な笑声がまきおこった。
 沙漠に、たくみな落し穴がこしらえてあったのだ。そうとは知らず、河合は箱自動車をすっとばして、穴の中へ落ちこんだのだ。
 形勢は急に不利となった。ただ幸いなことに河合も山木も、おでこに瘤《こぶ》をこしらえたぐらいのことで、生命に別条はなく、一方、張もネッドも、すぐ砂の中からはい出した。
 だが、皆の顔色はすっかり変っていた。頼みに思う箱自動車が穴ぼこの中に落ちてしまったのでは、これからてくてく歩くしかないのだ。それはずいぶん心
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