ねばならぬ」
 博士は、進んで火星人に近づく心であったらしい。そして平和|裡《り》に、事をきめたい考えであることが分った。が、このとき火星人たちは、何思ったものか、急に密林から姿を現わした。そして広い沙漠を、まるで飛ぶようにしてこっちへ向って来るではないか。何百人、いや何千人、いやいやもっと多いのだ。まるで赤蟻の大群が引越しをするような有様で、隊伍をととのえて沙漠を横断し、この宇宙艇へ向けて殺到する勢いを示したのである。
 ああ、危機来る!
 こっちは僅か十人足らずの地球人類だ。相手は何万何十万と数知れぬ火星人の大集団だ。しかもこっちの者にとっては、勝手のちがう異境火星の上だ。デニー博士の一行は非常に不利な立場にある。


   迫る火星人


 事態はすこぶる険悪だった。
 頭のでっかい赤蟻が立ったような恰好の火星人の大群は、見事な隊伍をつくって、刻一刻、沙漠に腹這《はらば》いになった宇宙艇へ近づいて来る。
 わが火星探険団の指揮をとるデニー老博士は、指揮台の上に突立ち、テレビ見張器の六つの映写幕をじっと見つめて、身動きさえしない。
 ああ、このままで行けば、一行九名は、火星人の大群
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