組員はわずか十名たらずの少人数で、この困難な大事業を見事にやりとげたのであった。生命の危険にさらされること幾度か。それを切抜けることができたのは全くふしぎでならぬ。いや、これこそ全員が、互に助けあい、自分の勝手を行わず、指揮者デニー博士の命令に従い、すこしも乱れることなく組織の最高能率を発揮した結果に外ならないのだ。
そして友を救おうとして、自分を救うことにもなったのだ。美しい友情だ。愛の勝利であった。
艇長デニー博士のよろこびは、誰よりも大きかった。火星探険協会を起こしてからここに二十五年、遂にその大事業は成功したのだ。その間、博士は、或る時は山師とあざけられ、また或る時は資金は尽《つ》きて、ナイフやフォークまで売り払わねばならなかったこともあった。
だが今やそんなことはすっかり忘れていいのである。
だが博士はこの大歓喜に酔ってばかりいるわけにはいかなかった。というわけは、博士が設計し建造したこの宇宙艇は、今|漸《ようや》く火星に着陸したばかりである。仕事はそれで終ったのではない。いやむしろ仕事は今後にあるのだ。
着陸したところは、地球の上ではない。勝手のわからない火星の上
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