おが》んで占ったら、出発してから二日以内に災難にぶつかるだろうといったじゃないか」
「そういったが、あんなことはあたりやしないよ。二日以内になんて、そんなにはっきりした予言なんかできるものかい」
 河合は、張の占いをこきおろした。
「それからもう一つ、いやなことをいったじゃないか。なんといったっけなあ“今度の旅行は先へ行くほど苦労が加わり、村へ帰れるのは何日のことになるか分らない”そういったじゃないか」
「うん、そういって僕たちを不安にさせるつもりだったんだ。不安になれば、張とネッドを連れていくだろうと思ったんだよ。とにかく僕は、占いなんてものを信じないよ。ばかばかしい話だ」
 山木はそれほどでもないらしいが、河合は張の占いをてんで信用しなかった。銀貨を上へなげて、落ちてきたところで表が出るか、それとも裏が出るか、場合は二つだ。だからどっちかだと予言すれば、半分はあたるはずである。占いなんてそんなものだと河合は軽蔑《けいべつ》していた。
 二人はその夜始めて道傍の林の中にキャンプを張って夢を結ぶことになった。それは非常にうれしいことだったので、食事がすみ、寝床ができても、二人はなかなか
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