けません。避雷針を立てて、落雷が殖えるなんて、およそ有り得《う》べからざることです。
ところが段々研究して行ってみると、そういう有り得べからざることが有り得るかも知れないということになりました。早く云えば避雷針は雷を殖やすことあるべしということです。その解釈《かいしゃく》を申しますと、避雷針は雷を引き寄せるのですが、避雷針の高さの三倍までの距離以内のものは、避雷針へ吸い取ることが出来る。しかしそれ以上のものまで効《き》かない。だから四五倍の距離の空中まで呼び寄せられ、その辺でマゴマゴしている雷は、已《や》むを得ず人家や森を伝わって下に落ちねばならぬことになる――というのです。
底本:「海野十三全集 別巻1 評論・ノンフィクション」三一書房
1991(平成3)年10月15日第1版第1刷発行
初出:「新青年」
1934(昭和9)年9月号
※初出時の署名は、丘丘十郎です。
入力:田中哲郎
校正:土屋隆
2005年6月14日作成
青空文庫作成ファイル:
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