客機が発着できるようにしたいです。そのときには、銀座はもちろん木挽町《こびきちょう》から明石町の方まで、すっかり飛行場の下になってしまうはずです。どうですか、おもしろいでしょう、ヘーイさん」
「下のビルディングの人たちが怒《おこ》りはしないだろうか。うちの頭の上に飛行場をつくったので、日光がはいらなくなったといってね」
「その頃になると、建築物はアメリカ式になって、もう窓のない家ばかりになるでしょうから、日光の方の心配はないと思います」
「なるほど。それでは下のビルディングが、飛行場よりもっと高いビルを作るから、飛行場に穴をあけるぞといって来たらどうする」
「さあ、そのときは、またヘーイさんに来てもらって、相手をうまく説きふせてもらいましょう。はははは」
「おやおや、まだぼくを使う気かね。いったいこの図のとおりになるのはいつのことかね」
「まあ二十年後でしょうね」
「二十年後か。よろしい二十年後に、ぼくはかならず源どんのところへ飛んで来るよ。はははは」
 ヘーイ少佐と源一は、ゆかいそうに笑う。



底本:「海野十三全集 第12巻 超人間X号」三一書房
   1990(平成2)年8月1
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