や、ぼく一人でたくさんだ」
「あんなことをいっている。ヘーイさんはお茶目《ちゃめ》さんだからなあ」
「うそじゃないよ。いっしょに来てみたまえ」
少佐はそういって、外に待たせてあるジープの方へいった。
源一も三人力を出すつもりで外へとび出した。すると少佐はジープの中へ上半身《じょうはんしん》をさし入れて、ごそごそやっていたが、やがて中から一抱《ひとかかえ》ある布ぎれ細工のものをとりだした。
「これだよ、ゲンドン。これがベッドだ」
「え、それですか。……なあんだ。それはハンモックじゃないですか」
「そう。ハンモックだ。われわれ軍人のベッドはハンモックでたくさんだ」
そういうと、少佐はハンモックをかついで三階へあがっていった。
「おどろいたなあ。ハンモックだったのか」
源一はアメリカ軍人の簡易生活《かんいせいかつ》におどろきながら、少佐のハンモック吊《つ》りを手つだった。対角線《たいかくせん》にハンモックを吊った。なるほど、そのように吊ると、長い少佐のからだも入るであろうと思われた。
「まあ、よかった」
源一は、一息ついた。それを見て少佐は、からからと笑った。
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