に著しいのです。犯人一平は、これに目をつけたのでした。二つの銅の接点は屋内に入ってピストルの引金のところと電灯線に繋《つなが》っていました。昼間はこの接点がかなり離れていますが、夜間となり暁となると壁体の方が硝子管よりグンと縮んでくるために接点の距離はずっと近づきます。しかし普通の寒さでこの接点がまだ接触するほどまでになりませんが、あの事件のあった夜のように、猛烈な寒気が襲ってくると、壁体は著しく伸縮し、壁体とネオン・サインの硝子管とにとりつけて置いた二つの銅の接点が遂に火花を出して接触するのです。接触すると、その接点を通じ始めて電灯線からピストルのところへ電流が流れて引金をグッと引張ることになるから、そこでピストルがドカンと発射される順序になるんです。この仕掛けは、あのように箆棒《べらぼう》に寒い暁近くでもなければ、普通の日の昼間はもちろん夜見ても、二つの接点が離れているからそれだけでは鳥渡《ちょっと》なんのことやら、怪しまれずに済む筈なんです。あの犯行のあった日は大変寒い日[#「寒い日」に傍点]で、その夜の明け方ちかく気温が急降することが別ったので[#「別ったので」はママ]、その夜
前へ
次へ
全29ページ中27ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング