えだしましたよ。ヒトミさん、うしろを見てごらんなさい。へんな形をしたものが立っていますから。しかし決しておどろかなくていいんですよ。安心して見て下さい」
 ポーデル博士にそういわれて、ヒトミも東助も、その方へ目を走らせた。
「あッ」
「あ、お化け……」
 二人の悲鳴である。


   あッ怪物現わる


 ヒトミと東助は、世にもふしぎなる物を見た。それは水色の、のっぺりした人形のようなものだった。背丈《せたけ》はヒトミよりすこし高い。お地蔵《じぞう》さまを青石でこしらえている途中のようなものに見えた。
(どこから、こんなものがはいってきたのかしら。ああ、気味《きみ》がわるい)
 と、ヒトミは、びっくりしてとびのき、博士のうしろへしがみついた。
 そのあやしい物は、一秒の休みもなく、自分の形をたえずかえつづけている。さっきはお地蔵さまの作りかけのように見えたものが、ほんのわずかのうちに形と色とがかわって、エスキモー人のようになった。それが急にふくれあがってきたと思うと、大きな黒竜《こくりゅう》が立っているような形とかわった。それが次には、えたいの知れない前世紀《ぜんせいき》の動物みたいに
前へ 次へ
全126ページ中79ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング