でいるんだが、もし人工装置がきかなくなると、艇内に重力というものがなくなって、皿がとんだり、天井に足がついたり、たいへんなことになるよ」
「まあ、たいへんね。そんなことになっては困りますわ。なぜもっと安全なように艇をこしらえておかなかったんでしょう」
「人工重力装置はぜったいに故障を起さないものとしてあったんだが、昨日大きな隕石《いんせき》が艇の機関室の外側へぶつかったことを知っているね。あれ以来、どうも調子がよくないんだよ」
「困ったわねえ。重力は停電のように、ぴしゃりと消えちまうものなの」
「いや、じわじわと重力がへってくるだろう。しかし七八分たてば重力は完全に消えるだろうね」
東助は、とくいになって話しながら、パイナップルの缶詰を、缶切《かんきり》でひらいた。
「ああ、いい匂いだ。うまいぞ、このパイ缶は。……おや」
東助が、さっと顔色をかえた。
「どうなすったの、三等機関士さん」
「からだが急にふわっと軽くなった。あんたはどう。そう感じない」
「あらッ、へんよ。あたしも、からだがふわっと軽くなりました。どうしたんでしょうか」
「いよいよ、おいでなすったんだ」
「えっ、何がおい
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