なたがたは、この世界をユークリッド幾何学の空間であると考えていますね。しかしそれはまちがいです。ユークリッドでない空間、つまり、非ユークリッド空間というものが本当にあるのです。それですよ、わたくしが今でてきたのは。この世界と、樽の中の世界とは、非ユークリッド空間でもって、つながっているのです。うそだと思ったら、あなたがた、わたくしのいうとおりにして、この煙突から樽の中へ入ってみる、よろしいです。そこにはびっくりするほどの広々とした世界があります。そこへ案内いたしましょう」
ポーデル博士は熱心を面《おもて》にあらわして二人にすすめた。
あまりのふしぎにうごかされ、東助とヒトミは思いきって、その樽の中にはいってみようかという気になった。
小さい樽の中に、うまくはいれるだろうか。またそのふしぎの樽の中には、どんなにおどろくべき世界が待っているのだろうか。
樽《たる》の中
ポーデル博士の話のおもしろさにつられて、東助もヒトミも、ふしぎの樽の中へ入ってみようと思った。
しかし、なんだか気味がわるい。
「では、三人で、手をつないではいりましょう。東助さん、先へはいります。東
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