たのがよくなかった。○○獣が互いに傍にいる間に、お互いの引力で小さくなっているんだが、あれを両方に離してしまうと、引力がなくなってしまうから、それで急に大きく膨《ふく》れて、あのとおり爆発してしまったのだ。○○獣はもともと瓦斯体《ガスたい》だったが、ああして廻りだすようになってから形が小さくなって鉄の塊《かたまり》みたいに固くなっていたんだ。だから二つを両方に離すと、どっちももとの瓦斯体になり、後には何にも残っていないのだ。じゃ○○獣というのは何物だったかといえば、あれは宇宙を飛んでいる二つの小さい星雲が或るところで偶然出会い、それからあの激しい収縮《しゅうしゅく》と強い廻転とが生じて、それがたまたま地球の中をくぐりぬけていったのだよ。全く珍らしい現象だ。随分恐ろしいことだった」
博士はベッドの中で大きな溜息《ためいき》をつきながら、そういうのであった。
底本:「海野十三全集 第5巻 浮かぶ飛行島」三一書房
1989(平成元)年4月15日第1版第1刷発行
初出:「ラヂオ子供のテキスト」日本放送出版協会
1937(昭和12)年9月
入力:tatsuki
校正:浅原庸子
2003年11月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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